前回は特定処遇改善加算の加算率が定まっていることから「経験・技能のある介護職員」の数が増えた場合、
かえって一人あたりの配分額が減少してしまうという構造になっているということ、
そのため「経験・技能のある介護職員」への平均支給額を現段階のシミュレーションで確定させると、
将来的に持ち出しが発生してしまう可能性について解説させていただきました。
今回は、これをどの様に解決するかの考え方についてお話しさせていただきます。
結論から言うと「経験・技能のある介護職員」の最大値をもとにシミュレーションをおこなうことが必要となります。
「経験・技能のある介護職員」の数が増えると一人あたりの配分額が減少してしまうので、
それ以上「経験・技能のある介護職員」増えない前提でシミュレーションをおこなえば、
それぞれの職種ごとに仕組上これを下回ることのない、
最低限保障できる分配額をシミュレーションすることができるようになります。
これを下回る設定にすれば、持ち出しの発生しないシステムを構築することができるでしょう。
理論上、この「最大値」は「介護職員の数」と同一になります。
というのも、一定の条件をクリアすれば「経験・技能のある介護職員」になれると設定した場合、
誰も退職せずかつスキルを身につけていくとすれば、介護職員全員が「経験・技能のある介護職員」になる可能性があるからです。
ただ、現実的ではないこと、結果的に一人当たりに分配できる額が少なくなってしまうこと、
「経験・技能のある介護職員」の理論上の最大数と実際の人数の差がプール金となり、
年度末の配分調整が必要な額が大きくなってしまうなどのデメリットが生じます。
これを回避するためには「経験・技能のある介護職員」の最大数を制限することで回避します。
「経験・技能のある介護職員」が一定以上の人数にならないように設計すれば、最低限保障できる分配額も結果的に高くなります。
その人数を何人にするかは、法人の考え方によります。
マネジメント層により手厚く配分したい場合は「経験・技能のある介護職員」の最大数を少なくする必要がありますし、
例えば半分程度まで「経験・技能のある介護職員」になれる設定ならば、額はやや減りますがより多くの職員に手厚い手当を支給できます。
「その他の職種」の分配についても、分配する・しないを選択することができるので、
より介護職員への分配を厚くするかどうかも検討できますし、
「その他の職種」の額が限られたものでも相談員や看護師など特定の職種に集中して分配すれば
数万円の処遇改善をおこなうということも可能になります。
この様に、分配の設計次第で、様々な形での処遇改善をおこなうことが可能になります。
自法人の考え方は何かを改めて整理し、それに沿った分配ができるよう、そのルールを明確にすることが重要です。
※記事一覧はこちらからご覧ください⇒「特定処遇改善加算に関する解説 」
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