前回までは特定処遇改善加算の基本的事項を確認してきました。
今回からは、それらを踏まえて、
実際どの様に事業所運営にこの加算を活用していくかを解説していきます。
まず大前提として、今回も取得した加算金については、
その全てを職員給与として分配する必要がありますが、
その分配の方法については「月額方式」か「一時金方式」またはその組み合わせと分かれます。
「月額方式」は、毎月決まった手当を「処遇改善手当」等の名目で支給するものであるのに対し、
「一時金方式」は、年度の中で実績に応じた額をまとめて分配するというものです。
従来の処遇改善加算では、定額支給をおこなうためのシステムがない、
正確な処遇改善額は所定単位によるので
厳密には固定することにはリスクがあるといった観点から「一時金方式」が多くありました。
しかし最近は「一時金方式」の見直しを進めています。
最大の理由は採用です。
これまでの処遇改善加算に特定処遇改善加算を含めると、
もちろん事業の規模にもよりますが、
地方部でも無資格・未経験のパートでも時給が1,000円を超えて
支給することも可能な法人も出てきます。
半数の事業所が最低賃金より少し上の時給で募集をしている中、
この時給はインパクトがあります。
月給の引き上げに関しても、より地域差は出ますが同様です。
対して一時金では、求人票上、これを時給や月給の引き上げと同等に表現するのは難しく、
求職者にも伝わりにくいものとなってしまいます。
いまの厳しい採用市場で、これは大きなマイナスとなります。
できる限り、時給や月給に反映するような構成にしましょう。
その上で、必要となってくるのが、支給の基準の明確化です。
キャリアパス要件3を満たす「能力評価」や「等級システム」の整備が
意図されていることは既に前の章でも述べている通りです。
「どんな条件をクリアすれば」「いくらもらえるか」を明確にすれば、
求人票でもより訴求力が高まります。
しかし、この制度を作っていく上で重要な課題があります。
それは、原資となる特定処遇改善加算には限りがあるということです。
これをどう分配していけば良いのかについて、次回でまた解説していきます。
※記事一覧はこちらからご覧ください⇒「特定処遇改善加算に関する解説 」
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