いつもコラムをご覧いただき、ありがとうございます。
株式会社スターパートナーズの博多コンサルティングチームリーダーの松尾 厚です。
今回から全8回で専門職教育体制に関して連載していきます。
介護サービスにおいて、自立支援等をおこなっていくためのより高い専門性が求められてきています。
これは法改正の動向をみても明らかです。
この流れに準じて、介護職員に対する専門教育、看護師やセラピスト等、元々医療分野で活躍していた専門職の採用強化を行っている法人様も少なくありません。
しかしながら、専門職を雇ってみたのは良いが、専門職の教育ができない、専門職の言いなり状態になってしまうなど、体制が整っていないと実際に働いてみた介護現場で考え方の行き違いが発生したり、専門職にとって魅力的でない職場として映ってしまう恐れがあります。
これらの専門職の教育課程を見返すと、解剖学や病理学などの人間の身体や病気に関する教育とその実習といった内容で埋め尽くされており、生活を継続するという介護の目指す方向性や介護報酬の動向、介護事業経営に関する内容などは習っていない、だから理解が難しいということになります。
また組織論も知らないため、組織をまとめること、管理・教育することに対して苦手意識をもつ職員が多いです。これは必然ともいえるでしょう。
人は自分の得意な分野では前向きになりやすいですが、苦手(と思っている)分野では前向きになりにくいものです。
そのため、患者を診てたほうが良いと転職していってしまうことも少なくありません。
さて、専門職の需給の状況はどうでしょう。
平成30年度の各専門職の合格者数は看護師58,682人、理学療法士9,885人、作業療法士4,785人、言語聴覚士2,008人といずれの資格も右肩上がりで合格者が社会に輩出されています。
医療分野における看護師のニーズは依然として高いですが、これは離職率に関連しているものでしょう。
セラピストのニーズは以前と比べると、かなり低下しており、専門学校を持っている病院の卒業生の大半を外の病院に就職させている状況があるようです。
今後、病院が爆発的に増えることは想定できないため、医療業界において、セラピストは飽和状態となるでしょう。
それに伴い、介護業界にもセラピストが流れてくることになります。
今後、より介護現場で専門職が必要とされること、そして介護現場で働く専門職が増えてくるであろうことを考えると、その受け入れのために、きちんとした制度を整えておくことが重要になります。
本コラムでは今回から8回に渡って、その制度構築の考え方について解説していきたいと思います。