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・全額自費運営の認可外保育施設は難しい
・事業所内保育事業は行政との折衝が必用で難易度は高い
・設置が自由で助成金の出る企業主導型保育事業に注目
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前回までは、介護施設における事業所内保育所の実情や方向性について解説してきました。
今回は、では実際に事業所を運営するならばどんな方法があるかについてお話しします。
現時点では、事業所内保育所の運営方法として挙げられるのは大きく3つです。
ひとつめは、認可外保育施設、いわゆる無認可と呼ばれる形態です。
名称からすると、全く制限なく自由に始められそうに聞こえますが、厚労省から出されている「認可外保育施設指導監督基準」に定められた基準を運営する施設になります。
基準を満たしていれば設置は自由にできますが、開設後1ヶ月以内にその旨を行政(多くの場合、都道府県)に届け出て、監査を受けた上で、上記基準を満たしているという証明書を受け取ります。
自由に設置できる反面、運営は全て独自で実施し、補助等もありません。
人件費も考慮すると、事業所内保育所として運営することはなかなか難しいといえます。
ふたつめは、事業所内保育事業と呼ばれるものです。
これは平成27年より開始された「子ども・子育て支援新制度」によって新しく作れるようになった形態です。
何よりも大きいのは、全て持ち出して運営しなければならなかった認可外保育施設に対し、こちらは設置や運営について行政からの補助を得ることができるということです。
但し、行政による認可事業であるため自由に設置することはできません。
行政が取りまとめている「子ども・子育て支援事業計画」において、保育定員の拡充が明記されていない場合、設置は難しいものと思われます。
行政との折衝の結果、仮に認可を得られることになったとしても、協議や補助金の予算取りの関係等で準備に多大な時間がかかる点は留意が必要です。
そんな中、平成28年より募集が開始された企業主導型保育事業には大きなインパクトがありました。
これは、実際の区分は認可外保育施設だが、一定の基準を満たしていれば設置や運営に補助を出すという制度で、内閣府が主導で運営する政府肝いりの事業でした。
つまり、認可外保育施設の自由度の高さと事業所内保育事業の手厚い補助の、その両方を同時に享受できる制度なのです。
破格の条件も受け申請が殺到した結果、当初5万人だった整備予定定員が急きょ7万人に拡充されたことはニュースでご覧になった方も多いかと思います。
現時点では、今年度の第2回目の募集が完了し、次回以降の募集は未定となっていますが、事業所内保育所の運営を検討される場合は、是非活用したい制度です。
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