8.台湾における日本への送り出し機関の取り組み①
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・台湾最大級の日本への送り出し機関の訪問
・ワーキングホリデー制度の活用
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前回は、台湾の施設における特徴のまとめをおさらいし、日本の介護事業との違いについて考察しました。
今回は、3日目に視察で伺った現地の送り出し機関の紹介と、その取り組み①についてお伝えします。
★台湾最大級の日本への送り出し機関
今回訪問したのは、台湾でも最大級の日本語学校かつ留学・ワーキングホリデーの支援機関です。
もともとは日本からの台湾進出をコンサルティングする事業から始まり、2009年から日本教育事業部門を開設しました。
現在は台湾全土で1,300名もの学生が同機関の日本語学校で日本語を学んでいます。
これは台湾においても有数の規模ですが、日本における日本語教育機関と連携しカリキュラムを組んでいる点、授業も全て日本語でおこなわれるといった点で他機関と差別化され、非常に高い評価を得ていました。 実際に、高いレベルの日本語を話すことができる学生が多いとのことでした。
★ワーキングホリデー制度の活用
同機関は、ワーキングホリデー制度を活用し、台湾人学生の日本での就労支援をおこなっており、その概要について説明を伺いました。
まず台湾人学生がワーキングホリデーを活用するには、①日本円で30万円程度の貯蓄が必要であること、②ワーキングホリデー申請のタイミングは1年に2回あり、許可が下りてから1年の間に出発すれば良いとのことでした。
申請から許可が出るまでの期間は1か月程度となっているそうです。
また、ワーキングホリデーの滞在期間は1年間であり、また台湾は外国人技能実習生制度の対象外であることから、ワーキングホリデー終了後は留学、就労ビザの取得等が必要になってきます。
その場合は、ワーキングホリデー先の会社での就労を目的とした就労ビザを申請することになりますが、介護が対象となるかは、現在は情報が少なく、今後の流れに注意を払う必要があるとのことでした。
台湾人人材の状況としては、日本人との会話が必要な仕事は日本語検定で3級程度を取得していることが望ましいですが、実情としては4級~5級の人材の割合が多くなっています。
逆に1級~2級のレベルになると、仕事を選ぶことが出来る状況になります。
また、台湾ではfacebookを通じて仕事を探す場合が多く、メッセージを通して学生とやりとりをしながら採用活動をおこなうことになるとのことでした。
日本への就労支援が活発に行われ、評価されている一方、ワーキングホリデー先における介護分野の事例が少ないという点は非常に残念でした。
今後の日本における有能な台湾人材確保の面で、日本政府の取り組みを含め、施設の受け入れ制度やPRの仕方などが喫緊の課題となるでしょう。
次回は、同機関の取り組み②についてご紹介します。