ここまでは支出の最小化に向けた取り組みを整理してきたが、ここからは収入を最大化するために今取り組んでいきたい施策に関してまとめていきたい。
収入を最大化するために持っておきたい視点としては
・売上目標の設定とその達成に向けた話をスタッフがしているか
・介護保険収入の最大化
・新たな加算算定
の3つが重要となる。
収入を最大化するためにまず考えるのは、顧客数を増やすことだろう。
介護事業所の場合、居宅介護支援事業所などへ挨拶に回り、ケアマネジャーと関係を深めながら、利用者の紹介をしてもらうというのが一般的だ。
訪問をすればすぐに紹介をしてもらえるというものではなく、時間をかけてしっかり信頼関係を築いていくことが重要なので、一般企業がどのような施策をとるかというと宣伝広告を強化し、営業スタッフが挨拶に回るという手法を取られているが、介護事業所では、宣伝広告を大々的にするのは難しいし、営業スタッフを準備するのも難しいだろう。
新規の顧客を増やしていくことは簡単なことではないのだ。
しかし、そういった信頼関係を構築してやっと紹介してもらえる顧客に対して、受入が難しいなどの利用で断ってしまうというケースをよく聞く。
それなのにせっかく来た新規の顧客の受入の可能性を十分に検討せず、顧客を逃してしまうことは経営的なリスクである。
なぜこのようなことが起きるのか。
現場のスタッフとしては、何人のご利用者が来ていても、給与は変わらない。
給与は変わらないのに業務は増えるので、その分大変になる。
同じ条件ならより上に楽な方がいいと考え、十分な検討する前に断ってしまう。
この原因は目標がないことにある。
スタッフが売上目標を設定してそれに向けて一体的に取り組んでいないことで、貴重な売上を上げる機会を損失してしまっているのだ。
コロナ禍で稼働率が下がっている事業所ではスタッフが集まり、売上目標をたて、その達成に向けた戦略を練る会議をぜひ設定してほしい。
今だから職員も前向きに取り組めるのではないかと思う。
介護保険収入の最大化に向けては、既存客に対しては利用頻度の見直しや利用時間の見直し、新規顧客に関しては、ケアマネ向けにも現在稼働が少し下がっているから、介護度が少し高い方でも手厚く対応できる旨を伝え、しっかり対応することで今後の中重度者対応に舵を切っていきたい。
軽度者だけにマーケティングして売上が挙がる時代は終わったのだ。
また今だからこそ、各種加算の算定に関しても見直していきたい。
特に点数は低いが、ADL維持等加算は今後必ずデイサービスの成果指標となるものであるため、早期に取り組んでおくことはとても良い影響がある。
もし稼働が下がっている事業所であればなおさら、この加算について前向きに取り組んでおきたい。
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