専門職教育体制構築支援センターコラム第4回目です。
ここまでなぜそのような制度が必要なのかといったところから、見込まれる成果や目的・概要を説明してきました。
ここでよくある間違いを例に挙げて、考えてみたいと思います。
①専門職は養成校で体系的に学んでいるから教育する必要はない
専門職が学んでいるのは、人体のことや病気のことがほとんどです。
つまり医学や病理学ということになります。
しかし私たちが提供しているのは医療や介護ということになります。
医療や介護については、学びは不十分です。ある理学療法の専門学校の教育科目を挙げてみましょう。
ある大学の理学療法専攻の履修科目です。
大きくは専門指示教育科目と専門教育科目に分かれ、これに加えて共通教育科目が加わるというイメージです。
専門指示教育科目では医療にまつわる倫理的な部分や心理学、チーム医療論などが入ります。
これは最近改定されたもので、現在働かれている職員様ではそのような科目は設定されていなかった可能性が高いです。
専門教育科目では理学療法に関わる筋や神経、骨に関するかもくや治療法に関する科目が入ります。
共通教育科目は、英語や中国語などの外国語など一般教養の科目になります。
当然のことながら、経営に関すること、組織運営に関すること、管理業務に関することなどは教育科目に入っていません。
それどころか、診療報酬や介護報酬などに関することもほとんど学ばずに理学療法士となって世に出てくるのです。
これはもちろん、作業療法士や言語聴覚士、看護師にも言えることです。
(鍼灸師などの開業権のある資格はこの部分に関する教育はあります。)
そのため、目の前の方に提供する技術や知識だけでなく、組織のなかでの職員としての専門職への教育が非常に重要ということになります。
②非専門職の上長では専門職と評価できない
上のよくある間違いの中でも指摘させていただきましたが、評価するのは専門職の知識や技術ではなく、接遇やコミュニケーション、組織の中での役割、専門資格を持った職員としての技量です。
決して上長が専門職である必要はありません。
また専門職としての知識や技術を評価したい場合には、それを定義する指標を設定することで専門的知識がなくても評価することができます。
これは介護サービス維持・改善支援センターで提供しているものとなります。
③専門職は教育しなくても、介護職と連携できる
専門職(看護師・理学療法士など)は医療の専門職としての教育を受けており、介護の教育は受けていません。
また医療における急性期や回復期を経験していれば、生活期や介護のかかわりができるというのも間違いです。
急性期や回復期は患者さんが病気によってある一定の同じような過程で回復していくのに対して、生活期や介護では環境や経済状況など様々な環境因子・個人因子があり、多様性があるのが特徴となります。
専門職に対しても、介護職と同様基本的な教育体制は必要となります。また介護職の方々との視点が異なることによって、軋轢が生じてしまうこともあるでしょう。
この部分を適切な教育制度の中に盛り込んでいく必要があるでしょう。