==ポイント==================
・現地の専門家と連携を図る
・さらなる事業展開にはパートナーが不可欠
・海外の成功事例を国内事業のイノベーションにつなげる
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前回では、「海外進出の7つのステップ」のステップ4についてお伝えしました。
事業モデルを構築にするにあたり、現地企業と提携している例を取り上げましたが、このように現地の企業と組んでマーケットを仕掛けることで、企業の知名度がアップしたり、調査の依頼などが来るようになったりします。
海外では日本のような介護保険制度は当然ながらありません。
介護事業を運営するにあたってすべてが自社負担となります。
当初は、介護事業は研究事業という位置づけにして、別の事業モデルで現地での収益化を図り、徐々に介護事業を本格化していくことが、特に中小企業の多い介護事業者にとっては現実的な路線であると思われます。
次にステップ5では、介護モデル施設の運営になります。
ここでのポイントは、現地の専門家と連携することです。
タイに進出した株式会社リエイの例では、次なる進出国として中国を考えた際に、中国の国内外ネットワークがあるドクターを顧問に迎えました。
現地で著名なドクターだったので、株式会社リエイが開設した施設の信頼性も急速に高まりました。
さらに、現地ならではの施設の認証や格付け、習慣があるので、そうした情報もしっかり収集するとよいでしょう。
ステップ1~5まで進んでいくと人材や事業モデルがある程度確立してきます。
収益が上がるようになったら、さらなる事業展開をしていくのがステップ6です。
この際に、パートナーが必要になります。
提携の形としては、ジョイントベンチャーのように2社で展開していくことが考えられます。
飲食店やホテル事業ではポピュラーな方法で、たとえばハード面や看板、経営の管理者は日本から提供し、サービス提供は現地スタッフが行います。
さらに理想としては、海外で展開した事業の成功例を、日本国内の事業のイノベーションにつなげるとよいでしょう。
これは、「リバース・イノベーション」と呼ばれ、介護分野の専門家、上智大学院の藤井賢一郎氏は、介護分野の海外進出で享受できるメリットの1つとしています。
「海外進出の7つのステップ」はこれで完了です。次回からは、日本式介護・高齢者ケアビジネスの優位性についてお話していきます。