前回では、キャリアパス制度構築の際には、まずは階層(キャリア)を分け、大まかな評価項目(カテゴリー)を設定し、次に細かな評価項目をカテゴリー別に各階層に適したものを配置するということをお話ししました。
こうして階層が上がるごとに各カテゴリーで求められる評価項目のレベルをアップしていくこと(特定のスキルがレベルアップしていくこと)で、自然なキャリアアップを明確な形で示すことができるようになります。
今回は、最後の仕上げと運用の方法についてご説明します。
各階層でどんなスキルが求められるかについて構築した後は、それぞれの細かい定義をおこなっていく必要があります。
例えば「新人教育」という項目があったとしても、
・新人教育ができる
・新人に対して基本的な介助動作を指導できる
・新人に対して基本的な介助動作を、その意図も含めて適切に指導できる
では、その中身の意味するところは全くことなります。
どのレベルまで求められるかを、具体的に示さなければなりません。
また、それを定義する上では法人として明確な基準を持つことも必要です。
キャリアパスを構築する際のワーキンググループで、しっかりと議論を固めておきましょう。
そして、それらの基準をクリアしているか否かを判断する方法として「能力評価」と「試験」の2つが挙げられます。
「能力評価」は「人事考課制度」と同様、定義に基づいて自己評価、他者評価をおこない、現状についての認識を定めます。
これをもとにして現段階の能力診断とフォローを同時におこない、次のキャリアアップのために必要な取り組みをチームで確認し合います。
また、普段の活動のみでは確認しづらい分野、知識や各場所でおこなわれている介護のスキルについては、試験を作成し一定基準をクリアすることで現段階のキャリアをパスしたものとみなす場合もあります。
いずれか、または両方の手法を通じて、定期的に能力評価を実施することで、その時々の能力に応じたキャリアアップや、次へ進むための指導が行えるというのがこの制度の特長になります。
以上、キャリアパス制度の構築を含め、人事制度構築について述べてきました。
次回は最終回となりますので、本コラムの総括を最後におこないたいと思います。