新コラムでは、今回から介護施設における人事制度の構築についてお伝えしてまいります。どうぞ、よろしくお願いいたします。
人事制度というと、かなりおおざっぱな言葉に聞こえるかもしれませんが、基本的に私たちは「教育と人材定着を支える制度」と考えています。
人材不足は、いまや介護業界に限らず多くの業界にとって大きな課題となっています。厚労省の「一般職業紹介状況」によると、平成29年の平均有効求人倍率は1.5倍となり、バブル期を超える水準になるなど、人不足は加速しています。「2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について」で指摘されている通り、今後さらに37.7万人の介護職員が不足するといわれる介護業界では、職員の採用はもちろん、その定着率を向上させるための取り組みもしていかなければなりません。
それを考える上で、厚労省の「介護人材の確保について」を見てみますと、介護職の離職理由は上位から「結婚、出産・育児」「法人・事業所の理念や運営のあり方に不満があった」「職場の人間関係に問題があった」となっています。
このうち「結婚、出産・育児」については(待遇の改善、事業所内保育所の整備等、手はあるものの)ライフイベントとしてやむを得ない事情といえますが、離職を予防する上では「法人・事業所の理念や運営のあり方に不満があった」「職場の人間関係に問題があった」については何らかの対策を立てる必要がありそうです。
「法人・事業所の理念や運営のあり方に不満があった」につきましては、単純な人材のミスマッチともとることができますが、そこには大きく2つの問題が見えます。1つ目は、本当に法人に合わない人が入職してしまう環境を作ってしまっている可能性があること、2つ目は、本当は合う可能性があるのにその溝を埋めることができずに離職につながってしまっている可能性があることです。
ミスマッチの起こりにくい仕組み、法人の考えをしっかりと伝える仕組みが必要となりそうです。
「職場の人間関係に問題があった」については、マネジメントの課題といえるでしょう。
この場合、チームワークの浸透や、ミドル層のマネジメント手腕が課題として挙げられるでしょう。
これらを防ぐための仕組みを作り、更に職員の成長にもつなげていくことを私たちは「人事体制の構築」と呼んでいます。
では、具体的にどの様な仕組みがあるのか。次回以降、場面ごとに有効なものを各項目ごとに詳細にお伝えしていきます。