“介護サービスの質を上げる“、”利用者・入居者の生活機能を維持改善する“などを目的にコラムを連載してきましたが、そもそものところ要介護状態になっている高齢者を維持はわかるが、改善できるのかという疑問を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
今回は要介護状態の高齢者を改善できる根拠となっているものの一つである“フレイル”を整理してみたいと思います。
「長年連れ添った配偶者を亡くしたAさんは精神的に落ち込んで軽いうつを発症してしまった。食事はのどを通らず、ずっと家に閉じこもる生活となってしまった。身寄りのないAさんは独居生活を続けている。」
「脳梗塞や骨折で入院した後、介護サービスを利用し始めたが、徐々に動作能力が低くなっている」
などのケースは全国の介護事業所で日々起きていると思います。
このようなケースには「フレイル」が関連していると言われています。
フレイルとは、“身体的、精神的、社会的側面などの影響により陥る虚弱の状態のこと”であり、日本では2014年に日本老年医学会がはじめて提唱しました。
フレイルは何かしらの疾患を発症した状況ではありませんが、これが原因で骨折などの疾患につながってしまうこともあります。
介護サービスとフレイルはどのように関係するのでしょうか。
ヨーロッパで行われた大規模な研究では、フレイルの方は健康の方より疾患を発症する可能性が高いことが分かった一方で、実に38.9%の方がフレイルの状態から改善していたことがわかっています。
つまりフレイルは早期に発見し、適切に対処することで、健康の状態に回復することができるわけです。
またフレイル自体は病気ではないため、入院することは出来ません。
生活に関連の強い介護サービスのほうが医療よりも、フレイルの早期発見や改善への取り組みなどが実施しやすい状況にあるのは明らかです。
『フレイルは改善できる』『フレイルは病気ではない』ということが自立支援を行っていく上で大きなポイントとなります。
次回はこのフレイルを改善するために、地域で取り組まれている研究結果などをまとめて紹介していきたいと思います。
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