前回のコラムにおいて、要介護状態になっている方を改善できる根拠として、「フレイル」をご説明させていただきました。
今回はフレイルのスクリーニング基準と研究段階にあるその改善手法に関してまとめてご紹介させていただきます。
フレイル改善のための第一歩は「気づき」です。
ご本人はもとより、介護職の方も含めた周辺の方々が変化に気付き、それをフレイルであると認識することが最も重要です。
フレイルは病気や疾患ではありませんので、その状態に対して、仮に医療機関に受診しても診断名は現時点ではつきませんし、CTやMRIなどの精密機器を使用しても、異常はない場合が多い。
しかし、フレイルという状態は疾患の前段階になっている可能性が高いため、本人や家族、周囲の人たちがそれに気づいて、対応することが非常に重要です。
フレイルであるという判断は様々な基準が開発されていますが、ここでは最も有名なフライドの基準をご紹介します。
①握力の低下 : 男性約30㎏ 女性約20㎏以下
②歩行速度の低下 : 約0.8m/s以下の歩行速度
③体重の減少 : 意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少
④疲れやすい : 何をするのも面倒だと週に3~4日以上感じる
⑤身体の活動性の低下 : 生活活動量の減少
以上の項目の3つ以上当てはまれば「フレイル」の状態、1~2つ当てはまる場合は「プレフレイル(フレイルの前段階)」の状態とされています。この「プレフレイル」の状態で発見することが出来れば、より健常に戻りやすいという研究結果も発表されています。
フレイル改善のポイントは現段階で「運動」、「栄養」、「多職種連携」、「認知症予防」などです。これらはほとんど介護施設や介護事業所で実施されているものだとお気づきだと思います。
ただ、運動をしているが、効果や目的がはっきりしていない場合や食事は提供しているが、摂取量をきちんと把握できていない、体重減少の原因を分析できていないという事業者様が多いのではないでしょうか。
意外なことに高齢者本人は身体的な変化に対して、「○○歳だから仕方がない」と言ってしまうことも多いが、介護職員も同じ目線で対応するのはプロフェッショナルではありません。
プロとしての客観的な目線で、原因分析を行い、的確な対策をとることで身体機能や生活機能を維持改善することが求められています。
次回は、利用者・入居者改善体制構築に向けた重要なポイントを整理していきたいと思います。
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