これまで「自立支援」の考え方と改善できる根拠として「フレイル」という概念に関して簡単に説明してきました。
この「自立支援」を進めていく上で、「フレイル」を改善していくという考え方が非常に重要です。
特にここでは、リハビリテーションと栄養状態について、取り上げて説明します。
リハビリテーションと栄養というのは、そのままアスリートにあてはめてみると、スポーツ栄養に当たります。
今ではスポーツ栄養を行っていない、アスリートはいないほど一般的になり、効果が検証されています。
パフォーマンスを改善するためには運動だけでなく、栄養的な介入も入れることで双方向的な効果をもたらすということがわかっています。
では要介護状態の高齢者はどうでしょうか。
自身の基本的な動作や生活に関連する動作のパフォーマンスが低下しているために介護を必要としています。
この高齢者に対してリハビリだけ提供して効果が出るでしょうか。
やはり栄養状態の観察や効果的な摂取などが非常に重要となります。
以下に、高齢者の身体的機能の改善に必要なポイントを2つにまとめたのでご参照ください。
①個別性の高いリハビリテーション
何もこれはマンツーマンのリハビリを指しているわけではなく、集団的で画一的なメニューからの脱却を意味しています。
利用者・入居者様全員が同じような筋トレメニューを同じだけ行うことで、その方の歩行能力や生活機能が改善されるのであれば、リハビリ専門職の存在意義はありません。
ターゲットを絞って、リハビリテーションの考え方がきちんと反映されたメニューを行うことでより高い効果が期待できます。
もちろん本人の目標ややる気が関連することは言うまでもありません。
②栄養状態のアセスメント
現在医療の分野においても、栄養状態が病気の回復に影響を与えることがわかってきています。
これは当然のことながら、同じ高齢者を対象とする介護分野においても同様です。
「フレイル」にも栄養状態は密接にかかわっており、栄養状態の悪化により動作能力が低下してしまうことがあります。
リハビリメニューが大変良いものであっても、それを実施する方の栄養状態が悪ければ、効果は出ません。
むしろ高齢者の貴重な筋を分解してしまうともいわれています。
「でも栄養状態は介護施設ではわからないのでは・・・?」
と考える読者の方もいらっしゃると思います。
採血や摂取エネルギー量などによる栄養状態のアセスメントは現在徐々に主流ではなくなってきており、現在は、むしろ体重や体格、足の太さ、食事摂取量の変化など身体的な測定や観察で評価する方法のほうが主流となってきています。
リハビリ効果を最大化するうえで栄養状態の評価や改善は大変重要な役割を占めています。
次回は、効果の出るリハビリテーション提供体制構築の流れを段階的に説明していきます。
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