==ポイント==============================
・介護業界でも、女性の就労率の高さから、事業所内保育は必要という認識はあった
・企業主導型保育事業の開始により大きく注目を集めている
・地方部でも保育園に入れない子どもはいて、事業所内保育のニーズは高い
====================================
これから、介護業界における事業所内保育への取り組みについて解説をしていきます。
まず第1回目である今回は、何故、いま介護業界で事業所内保育が注目されているのかを解説していきます。
そもそも事業所内保育という取り組み自体は、決して歴史の長いものではありません。
恐らく、1990年代にはまだほとんど聞かれることもなかった名称ではなかったかと思います。
それが、待機児童の問題や、病院での看護師不足などの問題が注目されはじめた2000年代頃、院内保育という名称で、医療機関などに併設されるケースが出てきました。
その後は、特に女性が多く働く職場で、求人応募を獲得する為の福利厚生として取り組まれることが増加していきました。
介護業界でも女性が多く働く業界で、早い段階から注目されていた企業様も多かったかと思います。
しかし、介護業界では収益構造の関係からか、なかなか広まることはありませんでした。
その状況が劇的に変わったのが、内閣府が2016年より開始した企業主導型保育事業です。
これは、事業所内保育所の設置および運営に対し助成金を支給する事業で、画期的だったのは、これまでは行政の計画の中にある保育事業にしか支給されなかった助成金が、企業単独の計画でも(条件をクリアすれば)受給できるようになったことでした。
もともと女性の就労割合が多く、求人も困難な介護業界では、この事業への取り組みが一気に広がっていきました。
そもそも、待機児童問題は大都市圏だけのものと捉えられがちですが、実は地方部でも保育園に入れない子どもはいます。
主に0~1歳の子どもで、人員配置基準上、どの保育園もこのあたりの低年齢の子どもには多くの定員を割くことができません。
そのため、多少定員に余裕のある地域でも、年度の途中から徐々に定員が埋まっていき、秋口以降は入園を希望しても入れないという状況が生まれてくるのです(ちなみに、大々的に報じられる待機児童の数は年度の4月、もっとも定員に余裕のある時期のものです)。
そういった年齢層の子どものいる母親は、年度途中から子ども預けて働こうと思っても(大都市圏なら年度初めからさえ)働くことができないという状況が発生します。
そういった層の働きたいという要望を即座に汲み上げることができるのが、事業所内保育所を持つ法人の強みとなります。
また、単純に働いている事業所の近くにあるということも大きな魅力になります。
バス送迎のある園は決して多くなく、あったとしても、基本的に3歳以上にならないとバス登園はできないという園がほとんどだからです。
もちろん、何かあってもすぐに駆けつけられるという安心感も、働く母親にとって喜ばれる点です。
以上の様に、介護事業所で事業所内保育を実施することで、採用活動で優位に立つことができると言えます。
では、実際に介護施設の事業所内保育とはどの様なものになるのかを、次回解説していきます。
介護事業所での事業所内保育解説に関するご相談はこちら>>「保育事業所経営」相談センター
企業主導型保育相談会も実施しています。