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・台湾におけるサービス付き高齢者住宅の設立
・介護に関する情報を提供するアプリケーション
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前回は、台湾の実践大学とそこで行った学生とのディスカッションの内容についてお伝えしました。
今回は、実践大学の卒業生会の会長であり、20年間以上現地で介護事業者をしているOBの方の講演内容についてご紹介します。
プレゼンテーションの中では、主にその方が手掛けている介護関連事業についてご紹介して頂きました。
★講演内容①、台湾におけるサービス付き高齢者住宅の設立
その1つ目は、台湾におけるサービス付き高齢者住宅の設立についてです。
これは日本における小規模多機能型居宅介護を参考に考案されたモデルであり、自立のうちから入居しながら、介護が必要になった場合は訪問介護やショートステイといったサービスを受けることができるというシステムとなっているとのことでした。
周辺事業としてレストラン・農協・市場・福祉用具・就労場所などを整備しており、自立の方の生活の場所の提供にも強いこだわりを持たれていました。
また、高齢者の住宅という近寄りがたいイメージを取り除くため、若者が自分自身を自撮りする習慣に目を付け、自撮りのできるスポットとして売り出し、今では若い女性が数多く詰めかけるような施設になっているとのことでした。
「aging in place」の考えのもと、自立の方から介護が必要な方まで、暮らしを継続していくことのできる環境を整え、健康なうちから次の住処を考え、健康増進やコミュニティの形成などを行っていくという考えは、昨今、日本でも注目を集めているCCRC(Continuing Care Retirement Community)の構想にまさに合致するところでした。
このような構想は、世界における高齢者ケアの現時点でのスタンダードな考え方の一つであると、再認識することができました。
★講演内容②介護に関する情報を提供するアプリケーション
2つ目の事業として、介護に関する情報を提供するアプリケーションについて紹介して頂きました。
これは、介護に関する不安や悩みを相談できるアプリケーションを活用し、当事者や介護者、あるいは社会福祉の専門家が寄せられる相談について回答をするという形式で、個々人の抱える介護に対する悩みを解消しようというものでした。
個人の利用料は無料で、介護サービスを提供している企業に広告を掲載していただき、悩みに応じたサービスを紹介、マッチングすることで収益化を図っていくというモデルだそうです。
日本ではケアマネジャーが担う事の多いサービス紹介の業務ですが、台湾ではまだ制約が
ないからこそ、自由な発想でサービス開発が進められているという印象を受けました。
次回がいよいよ最後となります!「台湾・台北における介護・教育・福祉機器展視察ツアー」のおさらいと、総括をしていこうと思います。