3.台湾の福祉機器②
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・Sen care2017で目を引いたリハビリテーション機器、振動療法
・台湾は、根底にある介護人材の不足やICTとの連携の仕方が日本と同様
・日本では見られないような取り組み、新しい知恵が見られた
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前回は、台湾最大級の福祉機器展、「Sen care2017」で見たICT機器についてお伝えしました。
今回は、Sen care2017で見た福祉機器②のリハビリテーション機器についてお話します。
そこでは、オーソドックスなパワーリハビリの他に、身体を吊り下げて歩行訓練をする大規模な機器や、日本ではなじみの薄い振動療法(Vibration Therapy)を取り入れた機器が目を引きました。
★振動療法とは、非常に小刻みな振動を使用した治療法で、日本でも一部導入している施設もみられますが現在のところは医療機関のほうが多い状況です。
その目的は大きく2つあり、
1つ目は筋への刺激にあります。通常人間は姿勢保持に使用する筋(遅筋)をほぼ無意識に使用し、微細なコントロールを中脳・小脳を通して行っています。
しかしながら、転びそうになった時の姿勢や筋の働きは速筋が優位であり、若年者には筋の割合として速筋が多いですが、高齢者では速筋の割合はほぼ0に近いともいう論文発表もあります。
実際に、速筋を使用する走る動きや筋の瞬間最大出力などの部分は、高齢者では低下していることからわかります。
これらの、速筋に対して姿勢保持を行うことでアプローチすることができる点が評価されています。筋への刺激を目的に行う場合は、立位で行うものが中心であるそうです。
2つ目の目的は、リラクゼーションにあります。
後遺障害を持った高齢者は、同一姿勢(坐位・臥位のまま)で過ごす時間が多くなってしまいがちです。長時間同一姿勢であることは筋のこわばりや運動麻痺がある方であれば痙縮の増強など、生活や介護における弊害が出現しやすくなります。これらを緩和する目的で使用していきます。
また、傾斜のあるベッドでの振動療法は自律神経系への働きがあり、パーキンソン病など錐体外路症状の緩和にも効果があるとのことでした。
福祉機器に関しては、日本の介護分野においてもICTやロボット産業との連携が進んできています。
これは台湾の福祉機器においても、同様の方向性がみられました。
日本でも同じようなアイディアで作られている機器もいくつか見られましたが、国が異なれば考え方や方法が異なり、至る所に日本より進んだ製品、日本にはないアイディアを具体化している機器などがみられました。
根底にある介護人材の不足やICTとの連携が日本と同様のため、全体としては日本における福祉機器展と似た傾向を持ちながら、一方で日本では見られないような取り組み、新しい知恵を得る事のできる展示会でした。
次回は、2日目に訪れた現地施設における様々なサービスについてご紹介します。