==ポイント==================
・現地のニーズに応じて柔軟にサービスを作り直す
・中長期的な視点でのビジネス展開やブランド普及が必要
・現地を実際に視察することが何より重要
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これから3回にわたり、お伝えしてきた日本式介護・高齢者ケアビジネスの海外進出の総論をお話していきたいと思います。
これまで見てきましたように、日本式介護・高齢者ケアビジネスの海外進出には、大きな可能性があり、先駆的企業の中からは有効なビジネスモデルも出始めています。
一方で、進出動機が興味や関心レベルにとどまり、単なる研究投資になっていることも事実です。
その理由としては、マーケットリサーチのノウハウ、海外ビジネスに必要な知識・ノウハウ・経験が欠如していることが考えられます。また、海外進出の際は、日本独特の介護保険制度の中で考えられたサービスや製品を現地のニーズに応じで柔軟に作り直していく姿勢も求められます。
進出後も、事業が軌道に乗るまでには5~6年は必要で、中長期的な視野でのビジネス展開や現地でのブランドの確立、普及も求められます。
けれど、介護事業者は中小企業が多いため、収益が上がらない間を持ちこたえる体力がないといった課題もあります。
企業レベルでは、海外進出を中長期的な視点でとらえ、現地のニーズに即したビジネスモデルの確立と徹底したマーケティング、また現地企業などと連携した日本式介護・高齢者ケアの「ブランド」の確立が必要とされます。
特に中国などでは、インターネットを利用した利用者の開拓など、日本国内とは違ったアプローチが有効的です。
そして進出を検討した際には、まずは現地を見ることが何よりも重要です。
弊社もこれまでにタイ、ベトナム、ミャンマー、中国等への日本の事業者の視察ツアーを実施してきましたが、単なる視察にとどまらず、関係機関とのディスカッションを通じ、参加企業は日本国内で伝え聞く情報の数十倍の情報を得ることができたと思われます。
次回は、業界団体、国レベルでの取り組みについて考察していきます。