==ポイント==================
・アジア進出事例は日本国内の差別化にも有効
・ミャンマーで視覚障害者支援のプロジェクトを展開
・上記の理念が共感され、プラスのスパイラルに
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前回は、A社のタイおよび中国への進出事例についてご紹介しました。
A社は海外進出で成功することで、日本国内事業においても「リバース・イノベーション(日本国内の事業のイノベーション)」を享受しています。
たとえば、タイ式ヨガのルーシーダットンやインド伝統医学のアーユルヴェーダなどを日本の施設に取り入れたり、中国からは薬膳の給食サービスを取り入れるなど、アジア進出から得た独自のサービスは日本国内での差別化を図るうえでも大いに役立っています。
次に紹介する日本式介護サービスの海外進出事例は、ミャンマーで提携のメリットを活かした事業展開の例です。
株式会社ジェイサットコンサルティング(代表:西垣充氏)の主力サービスは、日系企業への人材紹介事業であり、約20年間の事業の中でこれまでに登録者13,000人、派遣紹介先企業253社の実績があります(2016年1月現在)。
通常は採用担当者による書類選考、スカイプ面談、現地面談の後、採用というフローになりますが、間に家庭訪問、両親との面談を入れることで、人物の総合的な理解と離職防止を行っています。
2009年には、視覚障害者の自立支援目的に開業した、視覚障碍者が働くマッサージ事業も開始しました。
この事業は、ミャンマーの障碍者支援の画期的なプロジェクトとして2012年にミャンマー政府副大統領から表彰されるなど、ミャンマー国内でも高い評価を受けています。
同社は、日本向け介護スタッフ養成事業も実施しています。
後発ながらこの事業で他社との差別化になっているのは、経験豊富で優秀な教員です。
これには、同社の障害支援の理念に医師会が共感し、提携が決まったという経緯があります。
その結果、教育の要となる優秀な教員の採用が実現できたのです。
次回からは、これまで見てきた日本の介護事業の海外進出についてまとめをしていきたいと思います。