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【介護経営】介護事業所の収益改善に必要な5つのKPIとは?稼働率・キャンセル率・加算算定率を解説

2026年11月01日

【介護経営】介護事業所の収益改善に必要な5つのKPIとは?稼働率・キャンセル率・加算算定率を解説

介護事業所の経営改善を考える際、売上や利益の金額だけを確認していないでしょうか。

売上が減少した場合、その原因が利用者数の減少なのか、キャンセルの増加なのか、あるいは加算の算定状況にあるのかによって、必要な対策は大きく異なります。

介護事業所の収益改善では、売上という結果だけでなく、その結果を生み出す過程を数値で管理することが重要です。今回は、特に通所介護事業所を例に、経営者や管理者が押さえておきたい5つのKPI(重要業績評価指標)について解説します。

1.介護事業所の売上は「客数×客単価」で決まる

介護事業所の売上を考える際、基本となるのが「客数×客単価」という考え方です。

例えば、デイサービスにおいて、1か月の延べ利用者数が500人、1回あたりの平均売上が8,000円であれば、月間売上は400万円となります。

500人 × 8,000円 = 月間売上400万円

介護保険サービスでは、一般のサービス業のように自由に価格を変更できるわけではありません。そのため、売上向上には、利用者数や利用回数の確保と、適切な加算算定による単価の維持・向上が重要になります。

さらに、売上を増やすためには人員配置や設備、教育などのコストも必要になるため、売上と費用の両方を考えることが求められます。

2.介護事業所で管理したい5つのKPI

KPIとは「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」の略で、最終的な経営目標を達成するための過程を測定する指標です。

介護事業所では、特に以下の5つを定期的に確認することをおすすめします。

① 稼働率

稼働率は、事業所の経営状態を把握するうえで最も基本的な指標の一つです。

通所介護事業所では、月間の受け入れ可能延べ人数に対して、実際に何人の利用があったかを確認します。

稼働率 = 実際の延べ利用者数 ÷ 受け入れ可能延べ人数 × 100

稼働率が目標を下回っている場合、新規利用者の獲得が必要なのか、既存利用者の利用回数を増やせる余地があるのかを確認します。

なお、入居施設では居室・ベッドの稼働状況を管理するなど、サービス類型によって計算方法を調整する必要があります。

② キャンセル率

利用予定が多くても、キャンセルが頻繁に発生すると、実際の稼働率や売上は低下します。

キャンセル率を確認する際には、単純な件数だけでなく、発生理由や曜日、利用者ごとの傾向を把握することが重要です。

例えば、体調不良による欠席と、予定変更による欠席では対応が異なります。利用者の状態や意向に配慮しながら、振替利用の提案や利用スケジュールの調整を検討します。

キャンセル状況を数値化することで、稼働率が低下する原因をより具体的に把握できるようになります。

③ 加算算定率

介護報酬の単価を適切に確保するためには、取得可能な加算を確認し、算定要件を満たしたうえで確実に請求することが重要です。

例えば、事業所の人員体制やサービス提供内容から算定可能な加算であっても、必要な体制整備や記録、届出等が不足していることで算定できていない場合があります。

こうした状況を防ぐためには、加算ごとに対象となる利用者数、算定実績、算定できていない理由などを確認します。

加算の取得そのものを目的とするのではなく、サービスの質の向上と適切な評価を両立させることが大切です。

④ 登録者数

登録者数は、事業所の利用者基盤が維持・拡大できているかを判断する指標です。

月末の登録者数は、前月末の登録者数に新規契約者数を加え、解約者数を差し引いて確認できます。

当月末登録者数 = 前月末登録者数 + 新規契約者数 − 解約者数

例えば、新規契約が5人あっても、同じ月に5人が解約していれば登録者数は増えません。

また、登録者数が増加していても、1人あたりの平均利用回数が減少していれば、売上が伸びない場合もあります。登録者数と平均利用回数を組み合わせて確認することが重要です。

⑤ 紹介件数

介護事業所における新規利用者の獲得では、ケアマネジャーや医療機関などからの紹介が重要な役割を担います。

紹介件数は営業活動の成果を把握するための指標ですが、件数だけでなく、実際に見学や体験利用、契約につながった割合まで確認することが大切です。

紹介件数が多いにもかかわらず契約につながらない場合、利用者のニーズと提供サービスの間にミスマッチがある可能性も考えられます。

紹介をいただいたケアマネジャーへの情報共有や、サービス内容の伝え方なども含めて改善していく必要があります。

3.KPIを活用して売上改善につなげる

KPIは、単に数字を記録するだけでは意味がありません。数値の変化から課題を把握し、具体的な改善行動につなげることが重要です。

例えば、月間売上400万円を目標とするデイサービスを考えてみましょう。

【月間売上目標の例】
月間延べ利用者数:500人
平均利用単価:8,000円
月間売上目標:400万円

仮に平均利用単価を維持したまま、延べ利用者数を25人増やすことができれば、月間売上は20万円増加する計算になります。

25人 × 8,000円 = 月間売上20万円の増加

ただし、これは計算例であり、追加利用者の受け入れに必要な人件費や送迎コスト等は別途検討が必要です。

このように目標を具体的な数値に分解することで、「利用者を増やす」という抽象的な方針から、「延べ利用回数を何回増やす必要があるか」という具体的な行動目標へ落とし込むことができます。

4.経営会議では数字の確認だけで終わらせない

KPI管理を機能させるためには、定期的な経営会議や管理者会議で、数値の変化と改善活動を確認する仕組みが必要です。

例えば、稼働率が目標を下回っている場合には、次のような観点から原因を検討します。

  • 新規利用者の紹介件数が不足していないか
  • 紹介から契約までの転換率が低下していないか
  • キャンセルが増加していないか
  • 登録者の平均利用回数が減少していないか
  • 曜日や時間帯によって空き枠が偏っていないか

そのうえで、改善策、担当者、実施期限、次回の確認項目を設定します。

重要なのは「売上が足りない」「もっと営業する」という議論で終わらせず、どの指標を、どのような取り組みで改善するかを具体的に決めることです。

5.まとめ|収益改善は日々の数字の管理から

介護事業所の経営改善では、売上や利益の結果だけでなく、その背景にある稼働率、キャンセル率、加算算定率、登録者数、紹介件数などの指標を確認することが重要です。

これらの数値を継続的に管理することで、事業所の課題を把握し、営業活動や運営体制の改善につなげることができます。

収益の維持・向上は、単に利益を増やすためだけではありません。地域で必要とされる介護サービスを持続的に提供するための経営努力でもあります。


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執筆:株式会社スターパートナーズ 経営コンサルティング部

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