これまで、全9回に渡って日本の介護現場における外国人人材について解説してきました。
本日は、これまでの内容のまとめをおこないたいと思います。
①外国人人材雇用のポイント
外国人人材に実際に介護現場で働いていただくにはいくつかの課題があることをお伝えしました。
最も大きな課題は「日本の介護を理解してもらう」ことの難しさです。
多くの国ではまだ「お世話をする介護」や「抑制」が当たり前です。
「自立支援」や「権利擁護」「認知症ケア」といった考え方をまずは理解してもらう必要があります。
日本で当たり前の「介護観」を伝えるためには、現地での教育機関中にあらかじめ伝えたり、「自施設の介護の考え方」を事前に資料としてまとめることが重要であることをお伝えしました。
また、コミュニケーションが重要な職場であり、また長期滞在の要件となることから「N3」の取得ができる体制作りが重要であることをお伝えしました。
来日後の業務負担を考えると「N4」ギリギリでは難しく、しっかり「N3」直前まで教育できる力のある教育機関とつながることが重要です。
来日後も継続して日本語学習を支援できる社内体制を構築することも重要です。
②選ばれる施設になる
収入、言語、入国ハードル、その他環境を総合した結果、どの国でも共通して日本の人気は3~4番手だとお伝えしました。
外国人人材は安価で雇用のしやすい働き手というイメージを持たれているとするとそれは間違いです。
SNSの影響もあり、働き手同士のネットワークも発達しています。
「日本のあの施設がとても良い」と、日本人同様、海外の候補生にも志願してもらえるような、魅力的な施設になることが重要です。
③在留資格を理解する
「技能実習生」「特定技能」「介護」という3つの在留資格について解説しました。
「技能実習生」制度については、現在主流となりつつある在留資格になります。
現地教育機関や監理団体選びが重要となることをお伝えしました。
「特定技能」「介護」についてはまだ運用が始まったばかりの制度です。
いずれも「技能実習」からの発展が見込める形態ではありますが、実態としては実習期間が終わったら母国に帰る人が大半であると思われます。
また、同業他社への“転職”も可能になるため、長期的に働き続けてもらうためには、根本的な職場の魅力アップが必要となります。
外国人人材を雇用する上では、働きやすさを追求するという日本人と同様の取り組みと、学習を支援するという外国人独自の取り組みが必要になります。
賃金や経費も決して安くはなく、負担も増える取り組みにはなってしまいます。
しかし、今後の日本の人口動態を考慮すれば、介護現場における人材不足は危機的な状況にあります。
戦略的視点を持って、早期にお取り組みいただくことが重要かと考えます。
本コラムがそのためのヒントとなりましたら幸いです。
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