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・「介護福祉士」を取得すれば在留資格「介護」を得ることができる
・職場選びも自由で、家族の在留にも制限がない
・取得するためには「養成施設ルート」と「実務経験ルート」がある
・どちらにもメリット・デメリットがある
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在留資格「介護」は2019年に始まった制度です。
「介護」を取得すれば、在留期間の更新を回数に制限なくおこなえます。
また、配偶者及び子が「家族滞在」の在留資格で在留することが可能です。
これは、これまでに紹介した「技能実習」や「特定技能1号」とは大きく異なります。
取得するための条件は「介護福祉士」の資格を取得することです。
資格取得のために考えられるルートは大きく分けて2つあります。
「養成施設ルート」と「実務経験ルート」です。
「養成施設ルート」は、介護福祉士の養成施設に入学し、卒業するルートです。
養成施設を卒業した場合、介護福祉士の国家試験の受験は免除(令和3年度末までに卒業するものまで)されるため、
確実に介護福祉士を取得することができるのがメリットです。
また、卒業後5年以内に国家試験に合格するか、5年間続けて介護に従事することで、
5年たった後も介護福祉士の資格を保持することが可能です。
しかし、「養成施設ルート」では、養成施設に通っている間は在留資格が「留学生」であり、
週の労働時間が28時間に制限されてしまうことに加え、学費負担も生じるなど、金銭面でのハードルが高いといえます。
学費等を施設側で貸し付けるなどの例もあるようですが、
資格を習得する前や在学中、卒業後でも、帰国や他の施設への転職を選ぶリスクは無視できません。
在留資格「介護」を取得した方の働き方は、ほぼ日本人と同じと言ってよいでしょう。
平成30年の時点で、養成施設の入学者のうち留学生の占める割合は16.7%となっています。
また、弊社おこなったヒアリング調査では、留学生が7割を占めている養成施設も存在しています。
入学前に施設側から内定を得たような状態を経て入学してくる学生も一部いるようですが、
養成施設の教員が自ら就職先を探すケースもあるとのことです。
「養成施設ルート」に興味を持たれた場合は、近隣の養成校へ相談をしてみるのもよいかもしれません。
もう1つの方法は「実務経験ルート」です。
「技能実習」や「特定技能」での3年以上の実務経験に加え、実務者研修を修了した上で、
介護福祉士の国家試験に合格するというルートです。
こちらは「新しい経済対策パッケージ」(平成29年12月8日閣議決定)において、
「介護分野における技能実習や留学中の資格外活動による3年以上の実務経験に加え、
実務者研修を受講し、介護福祉士の国家試験に合格した外国人に在留資格を認めること」とされており、
現在、法務省において法務省令の改正に向けて準備中です。
実務経験ルートは、技能実習生として受け入れた生え抜きの外国人職員を
在留期間の制限なく雇用できるということが大きな強みになります。
反対に「養成施設ルート」とは違い、国家試験を受験し合格しなければならないことが最難関になります。
同じく介護福祉士の取得を目指しているEPA介護福祉士候補者の試験結果を参考にするならば、
第31回介護福祉士国家試験での合格率は、受験者全体が73.7%に対し、46.0%と低い数字になっています。
EPA介護福祉士候補者の受け入れをおこない、かつ一定の合格者を輩出している施設では、
いずれも法人を挙げての日本語教育および介護福祉士試験対策のバックアップをおこなっています。
「実務経験ルート」を目指してもらう上では、個人の努力のみに頼るのではなく、組織的な支援体制を構築しておくことが必須となるでしょう。
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